五日目

この日はとあるシュノーケリング専門店でシュノーケリング。

あまりいいことを書かないので名前は伏せておきますが、もともとは僕のインスタにいいねをくれて、見に行ったアカウントの写真がどれもすごくキレイだったので、こりゃいいところに連れて行ってくれるに違いないと期待して予約をしました。

しかし結論を先に書くと、この日は僕個人にとってはこの旅行中で最低の、地獄のような日となりました。

朝から宿に迎えに来てもらって離島ターミナルの東の方で船に乗り込みます。その時点で少しおや?と思ったんですが、ギャル率が異様に高い。家族連れが一組いるものの、男は他にカップルが数組いるだけで、男のみでの参加は実質僕一人でした。

そして参加人数が多い。全部で30人位はいたんじゃないでしょうか。一人ひとりの面倒なんて見てられない感じです。

そのへんの諸々の違和感の正体は始まってみたらわかりました。

始まってみると素潜りできないのは家族連れを除けば僕だけで、僕がギャルギャルしく思っていた人たちも何気なく何メートルも潜ってGoProやガチの水中カメラで水中撮影をしています。

行ったポイントもそんなにキレイじゃなくて、こんなもんなのかなあと思っていたんですが、今思い出すと半日ツアーの人はかなり少数で、ほとんどは午後も参加しているようでしたので、ひょっとしてこれ、午前中は全日ツアーの人のための小手調べというか、練習だったんじゃないかと。

要は参加したこのシュノーケリングサービスは、ガチ勢のリピーターやその人達が連れてくる友達でほぼ成り立っていて、潜り素人の男が1人で半日ツアーに参加するなんてレア中のレアだったのかもしれないと思いました。

参加するとき、男一人での参加とか雰囲気的に大丈夫ですか?とお聞きしたのですが、

「ぜんっぜん大丈夫、そこは心配しないで、みんな仲いいからすぐ楽しくなるさー」

的な返答で、今思えばこれで気づくべきだったのかもしれません…

スタッフの若いお兄さんは超イケメンで優しかったのですが、それが客層のギャルギャルしさにも拍車をかけてるんじゃないかと。

そんなこんなであまり楽しめなかったので早々に退散して黒島観光にシフトしました。

黒島は本当に何も無い島で、港にも観光案内的なものは無く。地図さえ手にはいりませんでした。

なのでふらふらと集落の方にむかうと錆びた案内板があって、なんとなく西側の浜がキレイなことと、東に少し行ったところに伊古桟橋というきれいな桟橋があるらしいことがわかりました。

そこでまずは西の浜へ。

細い道やトンネル状の林を抜けて

その先にその砂浜はあって、確かにとてもきれいでした。

ここでちょうど前の会社の方からLINEが入って、黒島にいることと全く関係のないたわいない話をして、日本の果てでこんな絶景を前にしてこんなくだらない話してんの僕だけなんじゃないかとそのシュールさに吹き出しながら、しばらく景色を眺めていました。

さて、港付近まで戻って次は例の桟橋を目指すことにしました。ここで僕は黒島を舐めてて、そんなに広くないだろうと高をくくっていたので自転車も借りずに歩き始めてしまって、後悔するハメになります。

あとで調べたんですが港から伊古桟橋までは距離にして2.2km GoogleMapによれば徒歩で約30分の距離です。

40度近い炎天下で、日陰のかけらもないアスファルトの道をただひたすら30分歩き続ける苦行を自分に強いてしまう結果となりました。

途中でもう意識が朦朧としてきて、中間地点くらいに一箇所だけあった海への階段を降りて海の水を浴びようとしたのですが、浅くて水の動きもあまりないのか、海の水がぬるいお風呂のようになっていて、却って暑くなってしまいました。

そこで引き返せばよかったんですがGoogleMapで調べたところそこはちょうど中間地点で、今引き返すと無駄な苦行を2.2kmやっただけになってしまうので、引き返すのに同じ距離かかるならいっそ桟橋に行ってしまおうと思い、続行を選んでしまいました。

でも気分的に追い詰められていたからか歩いても歩いても一向に桟橋は近づいてきません。たまりかねて途中通りかかった自転車の観光客の方々にあとどのくらいかと聞いてみたところ、すぐそこだよ頑張って!と言ってもらい、なんとか気力を振り絞って行ってみると本当にすぐそこで、やっとたどり着きました。

確かにとてもきれいな桟橋で、西桟橋と比べるととても長いです。

人が居ないのを撮りたかったけどさすがに人気の桟橋のようでそれは無理でしたので諦めて、あずまやでしばらく休んで体力を回復して、帰途につきました。

飲み物がなくなってしまってどこかで仕入れたかったけど見渡す限り店のようなものも、自販機さえも見つからず、しょうがないのでそのまままた来た道を引き返して、帰りは気温も下がってきていたのか行きよりは楽に港まで帰り着きました。

これ冷静さを失っていたんだと思うんですが、実はすぐ近くにおしゃれカフェがあったらしいのを見落としていました。生存戦略的な意味でも、黒島観光的な意味でも行きたかった…。残念です。

さてその後は石垣島に戻り、レンタカーの予約があったのでその受取をしました。石垣島でレンタカーがあると俄然行動が楽になります。今日から帰る前日の夕方まで車という武器を手に入れてうきうきです。とりあえずレンタカー屋さんからの帰り道にあったマックのドライブスルーに酔ってマックシェイクを飲んだらそれがすごく美味しくて、その後そこを通るたびにシェイクを買って飲んでました。

そしてホテルに一旦戻って身支度を整えて、昨日昼間に行った御神崎へ今度は夕陽を見に。御神崎は石垣島随一の夕日スポットとのことで、夕方になると人が集まってくるらしいです。

僕がついたときはまだ早くて人も少なかったのですが、どんどん人が来て最後は駐車場に車が入らない盛況ぶり。そしてそれが当然と思えるほど、夕焼けは神がかった美しさでした。

太陽も沈み終わったし帰ろうかと車に向かってる途中で、太陽の沈んだ夕焼けをずっと見続けているとてもきれいな女性に出会いました。

写真を撮らせてもらいえないかと話しかけたところ快諾いただいて後ろ姿を撮らせてもらいました。

撮ったあと少し話したのですがなんだか不思議な会話で、容姿と相まってすごく印象に残りました。特に印象に残ったのが、以下の会話です。

「どこから来られたんですか?東京? そうですか。私今一ヶ月ここに居るんです。今日は光の道はでていました?」
「はい出てましたよ」
「そうですか、夕陽がきれいでだって聞いて急いできたのに、今日も光の道を見れなかった…」

と言ったきりだまりこんでしまいました。「居る」という言い方や、夕陽そのものではなくて光の道にこだわっているのが多少色んなことを想像させて、もしかして地縛霊的なイメージで、光の道に間に合えばなにか開放されるのかなあとか考えちゃいました。

少しバランスが悪いくらい目が大きくて印象的な、妖精のような顔立ちだったのでそれもなんだかしっくり来てしまいます。写真をお渡しするためにLINEを交換したのですが、名前はEとだけ書いてあって本名その他なんの情報も読み取れません。

色々と不思議な方でした。世の中には色んな方がいるのだ、ということで帰途につきました。

帰りに、石垣牛を一回くらい食っておこうととある有名なステーキ店に寄ったのですが、その高さに驚き、でも今更高いからと店を出る勇気もなく、一番安い4000円くらいのお試しセットを食べて、まあ美味しいとは思うけどそのコスパの悪さにまた驚き、これ庶民が気軽に食っていいもんじゃないなっていう思いを新たにしました。

僕はこれに4000円出すくらいなら、もう少し安い肉をたらふく食いたいなあ。

と、いうところで本日も終了。明日は楽しみにしていた吹通川のマングローブカヤックです。